痴(moha)とは

痴(moha)は、正しい見解でないこと、邪見解から生まれます。

妄説や偏見などはすべて痴(moha)です。

私たちは実に様々な偏見に囲まれて生きています。

無意識にその偏見の虜となっています。

日本人は頭が良く他のアジア人は頭が悪い、という偏見を持つ人がいます。

白人が優れた人種で有色人種は劣っていると考える白人は必ずいるでしょう。

それどころか、日本のなかでも、隣県は仲が悪いことが多く、『自分の県より、隣の県のほうが人が悪い』と考えている人もいるでしょう。

人種差別、男女差別、地域差別、学歴差別、職業差別、人間の偏見にはきりがありません。

これらのことは、痴(moha)のほんの一部です。

 

痴(moha)とは、分離の思いを生じさせ、嫌悪の感情を生じさせるものが多いです。

また、無常の理や因果の法をくらませてしまう妄説も全部、痴(moha)です。

常見は無常の理の理解から遠ざけます。

断見は因果の理法をわからなくしてしまいます。

ですから、常見も断見も痴(moha)です。

 

テレビでさかんに煽っている考えはすべて痴(moha)です。

テレビはスポンサーの意向でいろいろな考えを煽っているのです。

グルメ番組が多いのは、食への消費に向かわせるためです。

美味しいものを食べることが最大の幸せだという考えに向かわせます。

貪(raga)の増大へと向かわせます。

恋愛を賛美するのは、化粧品や洋服の消費へ向かわせているのです。

 

世の中の全体が痴(moha)で覆われていると言っても過言ではありません。