2024-04-01から1ヶ月間の記事一覧

『sati』が記憶であることについて

著書『仏陀の真意』の中で、『sati とは、本来、記憶と言う意味』と書いたことから、批判的なご意見がありましたので、考察します。 この人は、最初、 『半分ほど読んだところである。常識の力で既成仏教の手垢にまみれた概念を静かに批判している。その静か…

仏教のキーマンはスジャーター

仏伝だけでは、スジャーターは、仏陀が苦行を止めようと決意したときに、1回乳粥を差し上げただけの人のように受け取られます。 しかし、スジャーターの村の伝承を見ると、スジャーターは仏陀の成道において(ということは仏教全体において)極めて重要な役割…

なぜ最初に5人の修行仲間に説いたのか?②

何故、仏陀は、自分を信頼していなく、侮蔑している、5人のかつての修行仲間に最初に法を説いたのか、ということですが、私の考えはこうです。 身近であれば、スジャーターやその村の人に説いてもよかったのです。また、悟って初めてお布施をしてくれた2人…

なぜ最初に5人の修行仲間に説いたのか①

ぎんたさんの講師の人が『なんで仏陀は最初にこの5人に語ることにしたんだろう?』と呟いたとのことです。 初転法輪の時に、かつての修行仲間5人に最初に説法したことを言っています。 私は、この問いはとてもセンスのある問いかけのように思えます。講師…

後世の仏教理論で仏陀を読むと

大乗仏教の国日本において、僧侶も一般人も、大乗仏教の理論を仏陀に読み込んで満足している人が圧倒的に多いのが現状です。 動画を見ても、原始仏典を説明するとき、日本仏教の僧侶は、大乗仏教の理論で説明できる部分だけピックアップしています。 龍樹以…

仏陀の言う『空』とは

後世の仏教において、すべての存在は無数の原因(因)や条件(縁)によって成り立っているので、自性などなく、空である、というように、縁起、無自性、空の理論ができ、それが仏教の根本思想となりました。 仏陀は空の理論は説きませんでした。 スッタニパータ…

なぜ仏陀は第四禅で入滅したか

仏陀は、九次第定を一段階目の初禅からはじめて九段階目つまり最終段階の想受滅定(滅尽定)に到達したあと、なぜか段階を一段ずつ下がっていき、初禅に戻り、初禅から第四禅に上がったところで入滅しました。 これは大きな謎です。 普通に考えれば、最高段階…

第四禅と四無量心の関係

『清浄道論』にこのようなことが書かれているという論文がありましたので、備忘録として載せておきます。 『身至念と十不浄とは初禅に属す 初の三梵住は三種禅に属す 第四梵住と四無色とは第四禅に属す』 という言葉です。 論文では 『つまり、慈・悲・喜無…