2023-07-01から1ヶ月間の記事一覧

誰でも簡単なら何故?

ある、親鸞系の人のYouTubeを見ていて、疑問に思ったことを書いておきます。 その人は無量寿経などの浄土三部経を、仏陀の出世の本懐だとし、最高最深だとします。 それはいいのです。 大乗仏教の場合、不立文字を標榜する禅宗以外は所依の経典を立てます。 …

法華経嘱累品『余深法中 示教利喜』について

www.youtube.com 法華経嘱累品にこうあります。 若有衆生 不信受者 当於如来 余深法中 示教利喜 この一文をもって、 『法華経を信じることができない衆生には、深法が説いてある如来の他の経典を示して導きなさい』という意味だと解説しているYouTubeがあり…

『インド大乗仏教の虚像と断片』第3章「仏陀の遺骨と比丘の仕事」

第3章では、大乗仏典の内、全く流布されなかった経典『摩訶迦葉会』について考察しています。 この大乗経典において、比丘の仕事は2つ、瞑想と読誦だとされます。 それなのに、菩薩乗を信奉するある比丘たちや、声聞乗を信奉するある比丘たちは、食や衣や…

提婆達多の謎

提婆達多は、増一阿含経では、仏弟子でありながら仏陀を殺そうとした大悪人とされています。 しかし、5世紀にインドを旅した法顕によると、その時には、提婆達多の教団はネパール国境付近で存続していたと言います。 つまり、提婆達多派の教団は、仏陀のサ…

『インド大乗仏教の虚像と断片』第2章「金剛般若の「その地点は塔廟となるだろう」という成句」

第2章では、多くの大乗仏典において、遺骨崇拝を批判し、経典崇拝を優位にしていると結論しています。 ただ、法華経は遺骨崇拝と経典崇拝を同等に見ているとの指摘です。 遺骨崇拝批判は法華経より前の時代に成立した経典群に見られるのに対し、法華経はス…

『インド大乗仏教の虚像と断片』第1章「大乗とインド仏教中期」

グレゴリー・ショペンの『インド大乗仏教の虚像と断片』は、第一章から衝撃的な結論を導き出します。 そのほとんどは、『大乗仏教興起時代 インドの僧院生活』でも述べられていることでしたが、第1章の最後にこうあります。 ※※※※※ われわれは大乗がインドの…

グレゴリー・ショペン『インド大乗仏教の虚像と断片』

グレゴリー・ショペン『インド大乗仏教の虚像と断片』について、書いていきます。 まずは、大まかな目次の紹介と、それから、具体的な内容について考察していきます。 おおまかなあらすじは次の通りです。 ※※※※※ この四半世紀でもっとも影響力のある仏教学者…