カースト制度について
この本でも取り上げられている仏陀の言葉があります。
パセーナディ王『四つの階級に差別はあるのでしょうか』
仏陀『私は、解脱には、何ら違いはないと説きます』
仏陀の考えはこの言葉に尽きていると思います。
カースト制度批判が、仏陀の独創でも先駆性でもない、という著者の結論には、全面的に賛同します。
著者は、それは、沙門宗教に共通する思想性の一つだと言います。その通りです。
著者は、それは、バラモン階級が勢いを失ったからだと書いています。
ここの考察が十分ではないでしょう。
私は、ヤージュニャヴァルキヤの先駆性が生んだと思っています。
バラモン教でバラモン階級のヤージュニャヴァルキヤは、それまでの祭祀経典であったヴェーダ宗教を、『祭祀ではなく真理の知識によって涅槃に到達する』としました。
これにより、以降、祭祀経典ではなくウパニシャッド(奥義書)が主流になりました。
祭祀によらなくても解脱、涅槃に到達するという考えから、祭祀階級(バラモン階級)以外の階級から自由思想家が輩出しました。