中部経典『ヴァーセッタ経』にこうあります。
生まれによってバラモンとならず 生まれによって非バラモンとならず
行為(kamma)によってバラモンとなり 行為(kamma)によって非バラモンとなる
行為(kamma)によって農民となり 行為(kamma)によって職人となる
行為(kamma)によって商人となり 行為(kamma)によって雇用者となる
行為(kamma)によって盗賊となり 行為(kamma)によって戦士となる
行為(kamma)によって司祭者となり 行為(kamma)によって国王となる
このようにこの行為(kamma)を あるがままに見る賢者らは
縁起をよく見る者であり 行為(kamma)と結果を知る者である
行為(kamma)によって世界は起こり 行為(kamma)によって人々は起こる
有情は行為(kamma)に結ばれている 進む車の楔のように
これは、中部経典だけでなく、ダンマパダなど多くの経典にある有名な言葉ですが、
この言葉には、非常に大事なことが書かれています。
このようにこの行為(kamma)を あるがままに見る賢者らは
縁起をよく見る者であり 行為(kamma)と結果を知る者である
『縁起をよく見る者』というのは
paticcasamuppada-dassa
『この縁(paccaya)によってこのようになる、と見る者』という意味。
『行為と結果を知る者』というのは
行為(kamma)とその結果を知る者
つまり、行為(kamma)が因であるということ。
行為(kamma)によって世界(loka)は起こり
行為(kamma)によって人々(paja)は起こる
有情(satta)は行為(kamma)に結ばれている
註では、
世界(loka)=人々(paja)=有情(satta)
つまり、
kammaが因で、loka,paja,sattaはその果であるということ。
註では、
行為(業)によってそれぞれの行方において世界が起こる
故に、
『縁起をよく見る者』というのは
kammaが因であるということを知る者という意味です。