moha(痴・迷妄)の怖ろしさ

 くり (58.189.38.141)  
ショーシャンクさま こんばんは。
 
>ragaに対しては、四諦、つまり苦を見ることが最も効果があるように思えます。
>愛着する対象に縛られることが苦であると本当に見たときに、依存から脱することができます。
 
ここですよね。
簡潔な言葉の中に、ショーシャンクさまの深い洞察を経た叡智を見ることができます。
そして四諦を発せられたお釈迦様の心はほんとうに自由で何の覆うものも無かったということですよね。
 
「空をとぶ鳥に跡なきごとし」
九三 ひともし漏(まよい)すでに尽き 食(かて)において箸(とらわれ)なし その心境(おもい)は空(くう)にして 形相(すがた)にとらわれず かつ 解脱(げだつ)をえたり かかる人のゆく跡は たずぬるによしなし まこと 空をとぶ鳥に 跡なきごとし    「法句経」 毎朝仏壇で読んでいる「法句経」から引用してみました。
有難うございました。
 
 
 
くりさん、おはようございます。
raga(貪り)に関しては、意志による抑圧、戒律による禁止、は逆効果になることが多いですね。
律蔵を読みますと、特に若い比丘たちが、性欲に関し、何とか戒律の抜け道を探して性欲を満たそうとする涙ぐましいというか、おぞましい行為の数々が記されています。
仏陀により、全員破門になりましたが。
仏陀在世の時でさえ、これですから、戒律による禁止があればragaが消滅するというのはあり得ないです。むしろ逆でしょう。
ragaは、愛着することが束縛であり心を一点に固定するものであり苦(dukkha)であることを見極め本当に理解しない限り、消滅させることはできないでしょう。
 
raga 、dosaとくれば、moha(痴・迷妄)ですが、
mohaはやっかいそのものです。
mohaは、世界に溢れていて、私たちの身の回りを取り囲んでいるからです。
世界のほとんどすべてがmohaだらけです。
私自身の意見もそう、親や教師も周りの知人の見解も、マスメディアから大量に流され続けている見解もすべてmohaです。
特にテレビはmoha製造装置ですね。
テレビはスポンサーの意向によって動いていますから、これがあれば、これを得れば快楽や幸せを得られるという刷り込みを行ない、大量消費へと誘導します。
日本人は特に食への執着が凄まじいですね。テレビの刷り込みです。
『美味しいものを食べれば幸せ』という価値観を見事に植え付けました。
このようなmohaは、ragaを助長させます。
mohaがなければ、人間というのは、食べた体験があって、その感覚がとても快適だった(楽受)場合、その対象に執着するという経緯なのですが、mohaがあれば、あのタレントが言った美味しいという店の料理をどうしても食べたいという、未経験であっても、強烈なragaを生み出してしまいますから、とてもやっかいです。
 
人種差別、人種偏見、地域偏見のmohaなら、dosa(嫌悪)を生み出します。
mohaがなければ、dosaというのは、苦受から生まれるのですが、例えば、小さい時から『隣の村のやつは悪いやつだ』と親や周囲から聞かされ続けた場合、実際の体験として苦受はないにもかかわらず、隣の村の住民を憎んだりすることは世界中よくあります。
 
mohaを消滅させるには、顛倒した見解から180度転回し『正見解』になることしかないように思えます。