仏陀の言ったこと

遠佐 (126.77.139.124)    

ショーシャンク様 お書きになっているものから、いろいろ質問させてください。 まず、今までの仏教を全部白紙に戻して、仏陀の言ったことにもどる、というその仏陀の言ったこととは何ですか。それは、縁であり、その結実が十二縁起だといわれます。では縁とは何なのでしょうか。また、十二縁起で逆観により、行を滅すれば識を滅するといいますが、行とは何で識とはなにでしょうか。そして行を滅すると、識を滅すると現実的にどうなるのですか。また、苦とは何でしょう。私たちは戦争も知らないし、私は幸いにも大きな災害にもあっていません。ごく平凡な生活をしています。そのとき、苦といわれても、苦は欲望がもたらす、といわれても、現実感が伴いません。今までの言葉が非常に観念的に聞こえます。そういう人は仏教に縁がないとは思いません。釈迦は普遍的に人生は苦だといったのですよね。そして苦から解脱して涅槃に入る、と。涅槃が楽なのでしょうか。行も滅し、識も滅した、のっぺらぼうな涅槃とは楽なのですか。ドストエフスキーの小説が人間の深淵をえぐったような言葉で、苦を明らかにしてください。私はそういうものが現代の仏教に不足しているように思えて仕方ありません。
 
 
遠佐さん。
私はそういうものが現代の仏教に不足しているように思えて仕方ありません。
その通りだと思います。
現代の仏教、日本の仏教は、歴史上の仏陀の言ったこととはかけ離れています。
魂に響かないのです。
わたしにはどの仏教書も無意味なものに思えます。
もし、仏陀(ゴータマ・シッダッタ)の教えを仏教というのであれば、今は地球上のどこにも仏教はありません。埋もれてしまったのです。
 
仏陀は、苦の滅を求めて出家しました。
仏教の根本は四諦です。四諦は、苦集滅道、つまり、苦、苦の原因、苦の滅、苦の滅に至る道、の4つです。
つまりテーマはすべて『苦』です。
 
ところが、ほとんどすべての人は『一切皆苦』などとは思いもしません。
この世には快楽が満ち溢れています。
美味しいものを食べると幸福感がありますね。
異性とセックスするとき、強い快楽がありますね。
苦しい時もあるけど、それ以上に楽しいことがふんだんにあるのが人生です。
苦諦=苦の真理 が分かる人などいないのです。
自殺する人は苦しみが分かっていると思うでしょうけど、そうではありません。
自殺の原因は、病気、金銭問題、いじめ、失恋などですが、その原因がなくなれば苦はなくなります。病気が治る、お金がありあまるほどある、いじめがなくなる、好きな人といっしょになる、となれば、自殺を考えていた人もとたんに幸せになるでしょう。
とすると、仏陀が言った『一切皆苦』はあり得ないですね。
 
実際に、仏陀が言ったdukkha=苦 が人類には分からなかったから、仏教は捻じ曲がっていったと言えます。
仏陀が悟った時、『これは人に説いても無駄だ。わかるはずがない。』と考えて説かないでおこうとしました。
執着を楽しみ執着に歓喜している人たちに説いても無駄だと。
 
仏陀の言った『苦』はほとんどの人には理解できませんでした。
面白いことに、大乗仏典にも『衆生は苦を苦だと知らない』という言葉が出てきます。
 
『苦』に関して、そして『縁起』に関して、今の仏教なるものと、仏陀が説いたこととは全く違うということは、このブログに何度か書きました。
出来ればそれを見てください。
『十二縁起』に関しても書いています。
その上で、疑問に思うことがあれば、質問ください。