中部経典『削減経』

中部経典の第8は『削減経』です。

 

削減とは変わった題名ですが、ここでいう削減(sallekha)とは、煩悩を正しくすべて削るという意味です。

 

さて、この経典も見落としがちですが、非常に重要なことを含んでいます。

 

まず、我説(色を我と見るなど)や世界説(我も世界も常住であるなど)の誤った見解は、〈これはわたしのものではない〉〈これはわたしではない〉〈これはわたしの我ではない〉と、如実に正しい智慧をもって見る者は断つことができると説かれます。

 

それから

色界と無色界の禅定について説かれます。

第一禅も、第二禅も、第三禅も、第四禅も、空無辺処定、識無辺処定、無所有定、非想非非想定も、削減とは言われないと説かれます。

これらはどれも、現世の楽住と言われるとのこと。

 

そして、〈そなたたちは、ここに削減を行なうべきである〉と言います。

具体的には、殺生や両舌、悪口、綺語、貪求、瞋恚、邪見、邪思などの不善法を削減すべきだと説かれます。

 

つまり、禅定至上主義では絶対にダメなんだと言うことです。

 

後世、仏教は、禅定ばかりを重要視してきました。

しかし、どれも、現世の楽住にしかすぎないということです。

仏陀も、楽しみのために禅定をたびたび行ないました。

それは、楽住であったためです。

 

しかし、仏陀の真意は、行為(kamma)が最重要と言うことです。