中部経典『聖求経』

中部経典の第26は、『聖求経』です。

 

この経典は、仏陀が、自らの出家の動機や、出家した後、アーラーラ・カーラーマやウダカ・ラーマプッタのところで禅定を学んだこと、しかしそれを捨てて去り、自ら修行して悟ったこと、梵天勧請や、初転法輪が書かれています。

中部経典の中でも有名な経典です。

しかし、成道の時に悟った内容は書かれてなく初転法輪で説かれたこともさらっとしか書かれていません。そして、その主な内容は、『餌食経』で説かれた鹿の群れの喩えそのままです。

 

註では、アーラーラ・カーラーマは、四禅や空無辺処定、識無辺処定、無所有処定を七つをマスターしていたらしく、ウダカ・ラーマプッタはそれに加えて非想非非想処定をマスターしていたようです。

しかし、仏陀は『この法は、厭離のためにならない。離貪のためにならない。滅尽のためにならない。寂止のためにもならない。勝智のためにもならない。正しい覚りのためにならない。涅槃のためにもならない。』と思って、その法に満足せず、出て行きました。

 

それが、初転法輪が書かれる後半では、『餌食経』の鹿の喩えで、〈魔の見えないところ〉として、それらの禅定を挙げます。

 

この聖求経だけでは、捨てた禅定をなぜ説いたのかということはわかりません。

他の経典を見ないとわからないと思います。