中部経典の第16は、『心不毛経』です。
この経典は、五つの心の不毛と、五つの心の束縛について説かれます。
そして、五つの心の不毛と五つの心の束縛が捨てられたとき、四神足と努力が起きます。
全部で十五の部分であり、これをそなえたならば、最上の無碍安穏の獲得が可能と説かれます。
五つの心の不毛とは、
1,仏(師)
2,法
3,僧(サンガ)
4,学
5,修行仲間
この五つを疑う、ということです。
五つの心の束縛とは、
1,欲
2,身
3,色
4,食や睡眠の楽しみに耽ること
5,戒や修行によって神になろうとすること
以上の、五つの心の不毛と五つの心の束縛が捨てられたときに、四神足が起こります。
四神足(四如意足)とは、
1,欲神足
2,精進神足
3,心神足
4,観神足(慧神足とも言う)
この経典では、四神足について、その本質がわかるようになっています。
1,欲神足
ですが
chandasamadhi-padhanasankhara-samannagata-iddhipada
つまり、意欲によって起こる禅定と精勤となる力をそなえた神足、と表現されています。
2,精進神足は
viriyasamadhi-padhanasankhara-samannagata-iddhipada
精進によって起こる禅定と精勤となる力をそなえた神足。
3,心神足は
cittasamadhi-padhanasankhara-samannagata-iddhipada
心によって起こる禅定と精勤となる力をそなえた神足。
4,観神足は
vimamsasamadhi-padhanasankhara-samannagata-iddhipada
観察によって起こる禅定と精勤となる力をそなえた神足。
神足とは、神通(iddhi)(完成という意味)の足(pada)(基礎・足場)という意味です。
欲神足は、意欲によって意識を集中していく禅定。
精進神足は、四正勤に意識を集中していく禅定。
心神足は、心の中の善法である観念に意識を集中していく禅定。
観神足は、洞察していく禅定。
これに努力(ussolhi)を加えて、十五の部分を備えると、
母鶏に正しく温められた卵が孵化し破殻し、雛が出てくるように
覚りが可能だと述べられます。