仏陀は三明を持つ者

中部経典第71経『三明ヴァッチャ経』にこうあります。(要約)

 

ヴァッチャ族の遍歴業者が仏陀に尋ねた。

『「沙門ゴータマはすべてを知るものでありすべてを見る者であり、つねに途絶えることなく智慧という洞察が現われている」と言っていいでしょうか?』

 

仏陀は答えた。

『「沙門ゴータマはすべてを知るものでありすべてを見る者であり、つねに途絶えることなく智慧という洞察が現われている」とこのように語る者は、わたしについて真実を語っていない。』

『沙門ゴータマは、三つの明智を有すると説明すれば、わたしについて真実を語っている。』

 

『わたしは、欲するままにさまざまな過去の生存を思い起こす。』

『わたしは天の眼によって死につつあり再生しつつある生ける者を見る。身体による悪行をそなえ、ことばによる悪行をそなえ、こころによる悪行をそなえ邪な見解によって業を行なう。かれらは悪い境涯へ再生する。身体による善行をそなえ、ことばによる善行をそなえ、こころによる善行をそなえ正しい見解にもとづき業を行なう。かれらはよい境涯へ再生する。つまり、業に従って行く生ける者を知る。』

『わたしは煩悩の漏出を消滅し尽くしている。』

『沙門は、この三明を持つ者である。』

 

 

この仏典によると、この三明こそが仏陀の智慧であったわかります。