『自洲法洲』の本当の意味

大般涅槃経の有名な言葉『自らを島とし、法を島とせよ』は、

自洲法洲とも、自燈明法燈明とも、自帰依法帰依とも言われますが、その本当の意味は何でしょうか。

 

大般涅槃経では、仏陀は、

『この世で自らを島とし、自らをたよりとして、他人をたよりとせず、法を島とし、法をよりどころとして、他のものをよりどころとせずにあれ。』と説き

『では、修行僧が自らを島とし、自らをたよりとして、他人をたよりとせず、法を島とし、法をよりどころとして、他のものをよりどころとしないでいるということは、どうして起るのであるか?』と言った後、

四念処を説きます。

『身、受、心、法について観察すべし』ということです。

 

次に、『小サッチャカ経』では、色、受、想、行、識の五蘊を、『これは私のものではない、これは私ではない、これは私の我ではない』と如実に、正しく、慧をもって見るだけで、『自身を得る者』『他に依存しない者』となる、と言っています。

 

四念処は、身、受、心、法について不浄であり、苦であり、無常であって、私ではない、私のものではない、と洞察することです。

 

どちらにしても、『自身を得る』『島(中洲)を確立する』という結果が生じます。

 

ということは、仏陀は、人間の誰しも『これが自分だ』『これは自分のものだ』と考えているものすべてを非我と観じたところのものを『自身』『島』『中洲』だと言っているのです。