安易の方向に流れる

仏陀の真意が伝わらなかった理由の5つめは、そもそも人類はシンプルなものでないと受け入れないということがあります。

 

仏陀在世のときの信者数の伸びは、稀有な現象でした。

仏陀の理法のような高度なものがあれまで広まったのは、その頃のインドの精神レベルが極めて高いものだったということでしょう。

 

しかしながら、ほとんどの時代、ほとんどの地域においては、ごく単純なものだけが爆発的に広まります。

 

最も広まるのは、神の名前や仏の名前など短い言葉を唱える教義です。

 

日本でも信者数が最も多い宗派は、南無阿弥陀仏を唱える宗です。

 

時代を経るにつれ、ごく単純で手軽なものに人気が移っていくことはどの国でも見られることです。

 

本来の、仏陀の理法を瞑想するというやり方はどんどん捨てられていったことも、仏陀の真意が伝わらなかった理由でしょう。