仏陀と違う解釈によって

仏陀の真意が伝わらなかった理由の4つめは、仏教には多くの天才たちが現れ、自分独自の理論を展開していったということです。

 

仏教は、知の宗教といわれるだけあって、天才たちが数多く現れました。

中でも、龍樹は極めて独創的でした。

大乗仏教が広まった国では、龍樹の影響は非常に大きく、龍樹の解釈で仏教を理解しています。

龍樹は元々、自分の宗教を立ち上げようとしていた人でした。

それだけの独創性が龍樹にはありました。

独創性がありすぎて、『縁起』にしても『空』にしても、自分なりの理論を組み立てていきました。

仏陀が説いた『縁起』はあくまでも自らの『苦』の縁って起った原因を洞察してその縁を滅するという極めて実践的な理法でした。

その『縁起』を龍樹は、世界の存在のあり方の理論へと変貌させてしまいました。

 

その理論が間違っているとか正しいとかではなく、仏陀が説いた『縁起』と龍樹が説いた『縁起』は全く違うものだということです。

 

大乗仏教の国では、すべて龍樹の解釈で成り立っています。

 

ですから、仏陀が説いた『縁起』の意味は、私たちには伝わらないできました。