宿住智とは

わたしは欲するままにさまざまな過去の生存を思い起こす。

すなわち一つの生涯、二つの生涯、三つの生涯、四つの生涯、五つの生涯、十の生涯、二十の生涯、三十の生涯、四十の生涯、五十の生涯、百の生涯、千の生涯、十万の生涯、幾多の消滅の劫、幾多の生成の劫、を思い起こす。

そこにおいては、わたしはこのような名前であり、このような姓であり、このような種族であり、このような食べ物を食べ、このような安楽と苦痛を感受し、このような寿命をもっていた。

そのわたしはそこから死没してこのところへ再生し、そこでも、このような名前であり、このような姓であり、このような種族であり、このような食べ物を食べ、このような安楽と苦痛を感受し、このような寿命をもっていた。

そのわたしはそこから死没し、この世へ再生した。

 

このように様々な過去の生存を、様相と細かな状況ともども、思い起こす。

 

 

 

さて、これが宿住智について書かれている箇所です。

仏陀は宿住智によって、自分の過去の生存をありありと見たのです。

過去の様々な生存において、いろいろな安楽と苦痛を感受して生き、そして次の生存へと再生していったことがはっきりとわかったのです。

 

なんと数多くの苦の生存を経巡ってきたことか、そしてその苦の生存の縁って起こる原因をはっきりと理解したのです。

 

このことから、四諦十二縁起の理法に導いたのは、宿住智だと言えます。