ヤージュニャヴァルキヤとゴータマ・シッダッタ

ヤージュニャヴァルキヤは自己(アートマン)を心臓の中の虚空に横たわっているという言い方をしている箇所があり、
ここは残念なところです。

しかし、私は、仏陀(ゴータマ・シッダッタ)が最も影響を受けたのはヤージュニャヴァルキヤだと考えます。
仏陀の教えの骨格はヤージュニャヴァルキヤにあるように思えます。

自己(アートマン)を『~に非ず ~に非ず』としたこと。
行為(業)によって輪廻転生すること。

祭祀によるのではなく、真理を知ることによって不生に達するとしたこと。
妻を捨てて出家するという生き方。

これらを見ると、青年期のゴータマ・シッダッタはヤージュニャヴァルキヤの教えに甚大な影響を受けて出家し
行為や欲望を滅して不生に到達しようとしますがかなわず
ついに、行為や欲望のもっと元に、真の原因たる無明(苦を知らないこと)があることを発見し(四諦十二縁起)
独自のやり方で成道したのではないかと思えるのです。

ですから、仏陀は独自にそれまでにないやり方で無上の悟りを開いたのですから天上天下唯我独尊であることは確かですが
それに至るまでにヤージュニャヴァルキヤの影響は非常に大きいものがあると思っています。

 

 

行為によって輪廻転生することを言い出したのがヤージュニャヴァルキヤです。
自己を『~にあらず』としか言えないと言ったのもヤージュニャヴァルキヤです。
バラモンでありながら祭祀ではなく真理を知ることによって自己に到達するとしたのもヤージュニャヴァルキヤです。
妻を捨てて出家するという生き方をしたのもヤージュニャヴァルキヤです。

そして、その考え方はゴータマ・シッダッタに引き継がれています。