仏教についてのひとりごと 45

四諦の原型も十二縁起の原型も四無量心の原型も最古層のスッタニパータにはあります。
仏陀が繰り返し説いていて重要なものは必ず最古層の仏典に出てくるはずだというのが私の考えです。
最古層の仏典に出てこないものは、後世に作り上げられたものだと考えています。

仏陀は仏教というものの開祖になろうと思ったわけではなく
洞察すれば明白なことを基に『まのあたりに実現する法』を説いたのです。
そこに何かを信じること、何かを信仰することは必要ありませんでした。
むしろ解脱の妨げになり束縛となることを仏陀は知っていました。

また、バラモン教のアンチテーゼとして生まれたわけでもありません。
スッタニパータには驚くほど、バラモン教ジャイナ教の用語が肯定的な意味で使われています。
仏陀のことをバラモンとか、ヴェーダの達人とか呼んだりしています。

それが後世になればなるほど、教義はバラモン教の全否定の方向へと向かいます。
無我=アートマン(我)の否定
という見方もそうです。

仏陀が言ったのは
『無常であり苦であるものを、われ、わがもの、わが本体と呼んでいいであろうか。』です。

無量心はブラフマンの住所、ブラフマンの境地、と説いています。

仏陀』という言葉もバラモン教ジャイナ教を問わず、目覚めた人という一般名詞です。

しかし、仏陀の死後から後世になればなるほど、煩瑣な哲学にふけるようになり、教義も膨れ上がっていきました。
仏陀の真意からどんどん離れていったのです。

時代によって膨大な教義の中で埋もれていってしまった仏陀の真意を掘り出していかなければいけないのではないでしょうか。

 

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私も、ダンマパダは大好きですよ。
整然としていて、文章の格調も高く、簡潔に仏陀の教えの核心をついてますね。
スッタニパータは、雑然としていて統一されておらず、訳者も大変な苦労をするくらい意味が取れないものが多いです。
教義が整えられていない最初期を書き留めたものですから当然と言えば当然かもしれません。

ただ、歴史上の仏陀が本当は何を言いたかったか、をテーマとする私にとっては、やはりスッタニパータは外せません。

スッタニパータでの仏陀の言説を見ると、今の仏教といかにかけ離れたものであるか、愕然とします。

たとえば、
仏教徒は、末法などという、仏陀が一言も説いたこともない思想を勝手に作り上げ
その、後世のものが勝手に作り上げた末法思想を基に様々な人たちが自分の思想を構築し自分の宗派を立ち上げていきました。

末法思想だけでなく、仏陀が一言も言ってないのに後世のものが勝手に作り上げたものがいかに多いか、です。
仏陀の真意は、そのように膨大な不純物によって埋もれてしまっていると考えざるを得ないです。

 

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下記の説ですね。
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正法の存続について言及するもののうち,最も古い説とされるのが,
「律蔵」「小品』(γτηαyα,CutZαilagga)の正法500年説である。

『アーナンダよ,もし女性が,如来が説かれた教えと律によって在家の
生活を捨てて,出家しなかったなら,アーナンダよ,梵行は久しくとどまり,
正しい教えは千年続くであろう。
アーナンダよ,しかし今や女性が,如来が説かれた教えと律によって在家の生活を捨てて,
出家したがために,アーナンダよ,梵行は久しくとどまらないであろう。
アーナンダよ,正しい教えはただ500年間のみ続くであろう。』

 以上の用例は,仏陀の叔母で養母でもあったマハーバジャーバティー・ゴータミー(Mahapajapati Gotami)が出家を許されたときに,
それを願い出たアーナンダに向かってブッダが説かれた教えということになっている。

これに続いて
「家に女性が多く男性が少ないときは盗賊が夜に侵入し
やすい。そのように,如来の教えと戒律によって女性が出家するならば,
この梵行は久しくとどまらない。このように女性の出家によって,
正法千年の期間が今や五百年のみになってしまった」と嘆き,
「水田に発生する白徽病」,「サトウキビのさび病」という警喩でもって,女性の出家者が男性
の教団に加わることを心配している。 

 しかし,厳密にはこれは後述するように,「仏滅後,正しい教えが滅しつつあるとき」云々という大乗経典等に頻出する法滅句とは無関係である。

 そしてこれは、内容上教理的な関連性を欠き,非常に唐突である。

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私も、この研究者が言うように、律蔵小品のこの伝承は、最古層の仏典で仏陀の言っていることと
大きく矛盾しており、後世に付加されたものではないかと考えます。

 

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Ahguttara Nikaya相応部「大品」(Mahavagga)第三「念処相応」に含まれる「戒住品」第三には,上記の1),2),3)の用例が見られる。
この一節は仏弟子バッダ(bhadda版陀羅)が正しい教えが長く保持される理由を
アーナンダ(Ananda阿難)に質問し,アーナンダがこれに答えるという設定である。
即ち,
「友アーナンダよ,どのような直接的原因と間接的原因によって,如来が完全に浬繋した後,
正しい教えがとどまることがないのでしょうか。
どのような直接的原因(因)と間接的原因(縁)によって,如来が完全に涅槃した後,正しい教
えがとどまる(saddhammatthit1正法久住)のでしょうか。
〔中略〕
友アーナンダよ,どのような直接的原因(因)と間接的原因(縁)によって,正法の衰退(saddhamma-parihana)があるのでしょうか。
また,友アーナンダよ,どのような直接的原因(因)と間接的原因(縁)によって,正法の衰退がないのでしょうか。」
と問う。
これに対して,アーナンダは「四念処」を実践することによって,
如来が完全に涅槃した後も,正しい教えがとどまる,
世尊が善戒(kusalanisilani)を説かれたのも,その四念処を実践するためであったと答えてい
る。
なお,これに続いて仏陀も一人のバラモンから同様の質問を受け,これと同じ答えを繰り返している。

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この記述を見れば、四念処観を実践している間は、正法の衰退がないということです。
もし、四念処を実践しなくなって正法が衰退したときには
原初に戻って、四念処を実践しなさいという主旨にしか過ぎないですね。

 

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もし、律蔵『小品』の
『アーナンダよ、正しい教えはただ500年間のみ続くであろう。』
という言説が本当に仏陀の言ったことだとすれば
正しい教えは、西暦100年前後で消滅してしまう、ということになります。
西暦100年以降は正しい教えはない、ということになります。

西暦100年前後に大乗仏教が興りました。

大乗仏教の人はこれをどう見るのでしょうか。

 

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像法(saddhamma)とは、正法(saddhamma)に像似のものという意味であり,ほんの僅かではあるが,パーリ相応部「因縁編第五迦葉相応」第13節「像法」と名付けられた経典中に見いだすことができる。
この経も上述の増支部経典と同じく,サーヴァッティーのジェータ林,アナータピンディカの園で説かれたという設定であるが,今度は仏陀と尊者マハーカッサパの対話となっている。

尊者マハーカッサバは世尊に次のことを申し上げた。

「世尊よ,どのような直接的原因(因),どのような間接的原因〔縁)によって,
以前には学処は少なかったのに,より多くの比丘が完全知に定まっているのでしょうか。
また世尊よ,どのような直接的原因(因),どのような間接的原因(縁)によって,
今は学処は多いのに,完全知に定まっている比丘はより少ないのでしょうか」と。

これに対し世尊は次のように答えている。

「カッサパよ。それは実に次のようなことなのである。衆生は衰えながら,正法が滅しつつあるとき,より多くの学処があっても,少数の比丘たちしか完全知に定まらないのである。
カッサパよ。像法が世に生ずることがない限り,正法の滅は起こらない。
しかし,カッサパよ。像法が世に生ずるとき,正法の滅があるのです。
カッサパよ。例えば,贋金が世間に出まわることがない限り,お金の
消滅は起こらない。しかしカッサパよ,贋金が世間に出現するとき,
お金の消滅があるのです。
カッサパよ,それと同じように,像法が世に生ずることがない限り,
正法の滅はないのです。
しかし実にカッサパよ。像法が世に生ずるとき,正法の滅があるのです。
カッサパよ。地・水・火・風の四界が正法を滅せしめることはないの
に,かれら愚者が現れるとき、この正法を消滅させるのです。
カッサバよ。警えば船が直ちに沈むように,
カッサパよ,そのように正法の滅があるわけではないのです。」

 

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<<あなたは、仏陀が説いた、諸法無我を否定するから、なにをいいたいのかわからない>>

仏陀が説いたのは諸法無我ではなく、諸法非我だと言っているだけですよ。

<<自我が強く迷いの者は、無自生でないのでしょうね>>
無自生??無自性の間違いですか??

もし、無自性のことであれば、
無自性が真理ならば、すべてのものは無自性です。迷いのものも無自性でしょうね。


末法思想の源流で、仏陀が言ったという言葉は
女性の出家を認めた時に言ったとされる
『アーナンダよ、正しい教えはただ500年間のみ続くであろう。』です。
それが本当に仏陀が言ったことで正しいとすれば
正しい教えは、西暦100年前後で消滅してしまう、ということになります。
西暦100年以降は正しい教えはない、ということになります。
西暦100年前後に大乗仏教が興りました。

あなたはこれをどう見るのでしょうか?

 

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